地域の「担い手農業者」の支援に『戦略営農Navi』を活用しています

ぎふ農業協同組合 様

Introduction Data
導入年月2017年4月
利用ユーザ数62名
導入形態クラウド
導入目的 <各支店> 
担い手対応メンバーの訪問活動のスケジュール管理や日報入力
<本 部> 
農業者を対象にした勉強会やセミナーの報告
本部統括部門による営農情報・企画の配信
各支店における活動情報の吸い上げ・集計
  1. 複数の報告ツールへの重複入力、他の担当者との情報共有がなかなか進まないという課題が生じていた
  2. 情報やノウハウを共有・蓄積し、農家に対する営農提案の質を向上させるためのツールとして『戦略営農Navi』を導入。現場で撮った写真を日報に添付して情報共有も進めている
  3. 日報への検印やコメント・アドバイスも『戦略営農Navi』で完結するため、部下・上司双方にとって業務効率化につながる

生産者の農業所得増大を目指し、自己改革に取り組む

JAぎふ(ぎふ農業協同組合)は、自然豊かな岐阜県の6市3町で事業を展開している。

同管内の主要な農作物は、米では「ハツシモ」や「コシヒカリ」。野菜は大根、枝豆、玉葱、トマト、人参などの作付けが多い。果物の栽培も盛んで、柿の出荷額は全国有数。「富有」が主力で、本巣市は全国トップクラスの柿のブランド産地として名高い。苺も名産の1つで、同県のオリジナル品種である「濃姫」と「美濃娘」が有名だ。

管内の農業者の数が減少し高齢化が進む中、JAぎふは「農業者の農業所得の増大」「総合性の発揮による地域の活性化」「組合員と利用者に信頼される経営基盤の確立」の3つを柱とする第3次中期経営計画を掲げ、自己改革を進めている。

必要なときに必要な情報を共有できるメリット

営農部営農企画課の辻有記臣課長

その最前線で活躍しているのが、JAぎふの各支店に所属する「TAC(タック)」と呼ばれる担い手対応メンバーだ。TACメンバーは、地域農業の将来を支える認定農業者等を日々訪問し、営農指導を行っている。

「たとえば現在、米の消費量が増えている外食産業や中食産業の業務用米の値段が上昇していますが、政府は2018年産米から生産調整の見直しを行います。そうした中、今後の需給動向によっては米の値段が下がることもあり得ます。そういう動きにも対応できるように、数年先を見据え、外食産業や中食産業の実需者と複数年契約をお勧めし、生産者の手取りの安定を図る提案などを行っています」と、営農部営農企画課の辻有記臣課長(写真)は語る。

こうした営農指導をサポートしているのが、TACメンバーが持ち歩くタブレット端末で使える『戦略営農Navi』。

生産者が抱える課題や現場で起こっている事象は、地域によってさまざまだ。それに対して最適な解決策を提案するのがTACメンバーの仕事。

かつては、地域の実情に詳しい人がその地域だけで活動していればよかったが、2008年に広域合併を行い、6市3町の広いエリアで事業を進めるようになってから、各地域の最新事情に加え、各担当者が生産者にどんな解決策を提示したのかという情報やノウハウを共有できる「横のつながり」を強化する必要性が高まり、対応にもよりスピードが求められるようになった。

そこでJAぎふでは、2017年4月に『戦略営農Navi』を導入。「製造業からサービス業まで広い分野で定着していることが、『戦略箱(戦略営農Navi)㊟』を選んだ大きなポイントです」と辻氏は話す。

現在『戦略営農Navi』を利用しているのは、各支店のTACメンバーを始めとする本支店の営農関連部署や役員など62名。TACメンバーが『戦略営農Navi』の日報に入力した情報をもとに、たとえば米の生育期間に管内の各地域でどんな病害虫が発生し、それに対して各担当者がどんな解決策を提案したかという、その時々に必要な情報をリアルタイムで共有することが可能になった。

農業分野では、栽培管理をはじめ、来年、再来年と、将来にわたって必要になる可能性がある情報は数多い。そうした現場発の情報や問題解決のためのノウハウ、知恵をデータベース化し、蓄積できるという点でも『戦略営農Navi』の導入効果は大きい。

さらに言えば、組織全体での情報の蓄積や共有が進むことで、ベテランのTACメンバーが定年を迎えたり、ある地域の事情に詳しい担当者が異動した場合でも、引き継ぎがスムーズに行え、営農指導の質を維持することが可能になる。

「写真日報」で、文字だけでは表現しにくい情報を伝える

地域農業の将来を支える「担い手農業者」を訪問し、営農指導を行うTAC担当者

JAぎふのTACメンバーは、タブレット端末のカメラで現場の写真を頻繁に撮り、それを『戦略営農Navi』の日報に添付して情報共有を進めている。

「TACメンバーが現場で撮る写真は、先の病害虫の発生状況や農作業の進捗状況、作物の生育状況などさまざまです」と辻氏はいう。

たとえば、ある生産者を訪れたTACメンバーが、日報に「トマトの色味具合が70%ぐらいで進捗しているので、予定通り11月下旬には出荷できそうです」という文章を入力したとする。ところが作物の「色見具合いが70%」といっても、個人によって色の基準がまちまちであるため、文字だけでは不確かなことが多いのだ。

その点、日報に写真を加えて補完することで、伝達・共有する情報の正確さが高まるだけでなく、情報共有の相手であるTACメンバーも、写真に引かれて「仲間の日報をきちんと見ておこう」という気になってくる。

こと農業分野では、その場に行って初めてわかることが多い。その意味で、『戦略営農Navi』に蓄積された現場写真は、言葉だけでは伝わらないノウハウや知恵の宝庫といってもいいだろう。会議資料などを作成する際も、『戦略営農Navi』で共有されている日報の写真を活用することで、ポイントが明確になり、説得力が増すという。

『戦略営農Navi』で業務を効率化し「働き方改革」を目指す

岩佐哲司常務理事、自らもタブレット端末で『戦略営農Navi』にアクセスし、各担当者の日報に目を通している

各TACメンバーが入力した日報には、上長が必ず目を通し、検印を押したうえでコメントやアドバイスを書き込む。些細なことであっても、「上長が自分のことを見ていてくれて、声をかけてくれている」と思えることが、部下のモチベーション向上につながるのだ。

『戦略営農Navi』では、こうした日報に対するフィードバックや部下の活動に対するフォローもオンラインで完結するため、報告する側も、報告を受ける側も場所や時間に制約されず、コミュニケーションを密にしながら業務を効率化することが可能。JAぎふでは現在、労務管理のための行動報告は紙の業務日報に記載しているが、今後は業務日報も『戦略営農Navi』に一本化して負担を軽減し、「働き方改革」を進めていきたいという。

JAぎふでは、タブレット端末62台のうち、約半数を管理職以上の職員に支給。役員クラスの職員も『戦略営農Navi』に登録された日報に、日々目を通している。

岩佐哲司常務理事も、タブレット端末から『戦略営農Navi』にアクセスして日報を閲覧し、『戦略営農Navi』からTACメンバーに直接アドバイスを行ったり、激励のコメントを送っているが、そうした心遣いが現場の士気の向上に一役買っているのだ。

成果につながる面談の数を把握

生産者との直接の対話を重視しているJAぎふでは、日報の検印機能をカスタマイズし、TACメンバーが生産者の元を訪れて営農指導を行った(有効面談)という報告には上長が「有効検印」を押し、内部の会議やミーティングに参加したとか、配布物を生産者に届けたという報告には「通常検印」を押すようにしている。

この有効面談の数が、現在取り組んでいる自己改革の指標の1つになっており、JAぎふでは各TACメンバーの有効面談件数を把握し、営農指導の質の向上に活かしている。『戦略営農Navi』では、TACメンバーの活動件数に対する有効面談件数の割合などのデータが簡単に集計でき、データをExcelで出力すれば、加工も自由に行える。

『戦略営農Navi』を導入してよかったと思う点は何か。辻氏はこう語る。

「地元企業だからということもありますが、対応の速さです。インフォファームさんは何か困ったことがあると、直接電話で対応してくれるのはもちろん、早いときにはその日のうちに駆けつけてくれるので、とてもありがたいですね。また、月1回の会議に合わせて操作説明会を開いてもらい、『戦略営農Navi』の便利な使い方を解説していただいています」

操作説明会などを通じて『戦略営農Navi』の定着を進める一方、「指導事業以外の販売事業、利用事業、購買事業についても、『戦略営農Navi』の日報を活用した情報共有を進め、JAぎふが提供する事業の利用促進につながる提案を行っていきたいですね」と、辻氏は抱負を述べた。

㊟導入当時は、『戦略箱』という名称でサービス展開
※この記事は、2017年8月時点の情報を元に作成しています
Company Data
設立1963年9月
本社所在地岐阜市司町37
事業所岐阜市、羽島市、各務原市、山県市、瑞穂市、本巣市、岐南町、笠松町、北方町(55店舗)
代表者代表理事組合長 櫻井 宏 氏
出資金72億4,602万円
職員数1,057名
Webサイトhttps://www.jagifu.or.jp
※2021年4月時点