社会全体でのDX化が進む中、業務改善や売上UPのためにSFAツールを導入する企業が増えています。

建設・建築業界でも「長期化しやすい案件の進捗が把握できない」「現場と本社の情報共有が上手くいっていない」など様々な課題からDX促進を目指し、ツール導入を検討する割合が増えています。

そこで本コラムではDX推進のために導入されることがある”SFAツール”とはどのようなものか、建設・建築業界向けの検討ポイントやメリットについてご紹介していきます。

SFA（Sales Force Automation）の略称で、営業支援ツールとも呼ばれます。

主に営業業務の効率化を目的としており、SFAを用いて情報共有の手間の削減や営業の標準化を実現することで、営業担当者がより多くの時間を顧客との関係構築や商談にあてられるようになります。

進捗の見える化や顧客情報の蓄積、データの蓄積により成約率が良いプロセスの分析など営業手法の改善にも役立ちます。

●主な機能

・案件管理
案件の進捗状況を可視化し、ステータスを管理します。

上司は案件の進捗を確認することで適切なアドバイスを最適なタイミングで行えます。

また進捗プロセスを設けることで、顧客に対して定期的なフォローを行うなど商談のクローズまで直感的にかつ丁寧に対応可能です。

・活動管理
営業がどこでなにをしているのか、営業活動の見える化を実現します。

また顧客と紐づけて活動を管理することで顧客に関する情報を素早く管理、情報の漏れを防ぎます。

・売上予測
SFAに情報を蓄積することで過去のデータに基づいた売上予測を行い、営業戦略を策定します。

営業が抱えている案件の状況を素早く把握、売上向上に役立ちます。

建設・建築業界では下記のような課題が挙げられます。

・情報の管理が煩雑で下請・元請など複雑な多階層関係を管理しきれていない
・案件が長期化しやすい
・繰り返しの仕事が少なく管理体系を定型化しづらい
・コミュニケーションが不足しており、部署を跨いだ情報共有が課題

それぞれについてご紹介していきます。

・情報の管理が煩雑で下請け・元請など複雑な多階層関係を管理しきれていない
顧客情報を担当者が個別で管理していたり複数部署でバラバラに管理している、アナログで管理されている、そんな状況に置かれていませんか。

紙や口頭、個人のPCなどバラバラに管理されていると、情報共有や情報確認が困難で今すぐ情報を知りたいのに時間がかかってしまいます。

またバラバラな情報管理の場合、下請や元請、どの企業がどの企業と関係しているのか、複雑な多階層関係を正確に管理することが困難です。

・案件が長期化しやすい

建設・建築業は1つの案件で提案、契約、工事の施工、定期点検など工程が多岐にわたります。

工期期間中に天候や資材などのトラブルが発生する場合もあります。

そのため案件が長期化しやすく、工程をきちんと把握する必要があります。

誰が今何を対応しているのかわからない、そんな状態を回避するためには案件の進捗を可視化することが大切です。

滞りなく案件が進むことは顧客からの信頼に繋がるため、不備や遅れがないようにチェックする必要があります。

・繰り返しの仕事が少なく管理体系を定型化しづらい

案件が長期化しやすい以外にも、建設・建築業は繰り返しの仕事が少なく、案件ごとに工程が異なることも多いです。

そのため案件や工事に合わせた進捗管理が必要になります。

・コミュニケーションが不足しており、部署を跨いだ情報共有が課題

建設・建築業では資材メーカーや設計事務所など多くの関係者が案件に関わるため、円滑なコミュニケーションが大切です。

現場と本社間や、関係者間での情報伝達に不足や齟齬があると、進捗が遅れてしまうなどと支障がでてきます。

SFAを導入するメリットは大きく分けて3つあります。

1つ目は「情報を一元管理できる」ことです。

SFAを導入することで顧客情報を一元管理可能です。

企業名や住所、業種や業態といった基本情報以外にも顧客の従業員情報なども管理可能、さらに商談情報や、クレームやお問合せに対する対応履歴など様々な情報を一元管理できます。

さらに下請や元請など、企業同士の関係や担当者情報を正確に管理することが可能です。

顧客に関する情報をSFAにまとめているため、知りたいことがあればSFAを見るだけですぐに情報を確認できます。

情報共有の手間を削減、知りたい情報を迅速に探せるようになります。

またこれまでは各部署で管理されており共有されてこなかった情報が共有されるようになるため、新たなニーズを発掘するなどアップセル・クロスセルに繋がることもあるでしょう。


2つ目は「案件の進捗が見える化される」です。

SFAの主な機能の一つに案件の進捗管理機能があります。

進捗管理機能を利用することで、現在は提案フェーズなのか、または顧客からの書類待ちなのか、もしくは営業から別部署に依頼を投げているのかなど状況が一目で把握できるようになります。

また天候や資材の影響でトラブルが発生した際には迅速な対応が必要になります。

案件ごとに項目を変更するなど柔軟なカスタムが可能なSFAならば、その後の予定が立てやすく、素早い対応が可能になります。

他にも関係者が状況を把握することで、納期が遅れそうな場合に声をかけるなど顧客からのクレームに繋がる前の予防に繋がります。


また見える化されることで、不要な業務や非効率な業務が明らかになります。

各フェーズごとにかかった時間（期間）などを確認できるため、どこにどれぐらい時間がかかるなど把握・改善することでより効率的なサイクルで回せるようになります。


3つ目は「部署をまたいだコミュニケーションが円滑になる」です。

SFAの中にはタスク依頼を行える機能を搭載している製品もあります。

部署をまたいだタスク依頼をSFAを利用して送ることで関係者全員が状況を確認できるなど状況把握・コミュニケーションが円滑になります。

スマホ・タブレットから入力できるようなSFAを選べば、現場から本社に即情報を入力、伝達なども可能になります。

また担当者が登録した日報に上司や関係者がコメントを残すなど、案件に対してリアルタイムに反応することが可能です。

紙で提出された日報に目を通し、アドバイスをする頃には案件が失注していた、そんな状態を防ぎます。

建設業・建築業でSFAを導入する際に大切なポイントは3つあります。

1つ目は「自社にあったシステムを選ぶ」ことです。

SFAは製品ごとに多種多様な機能を持ち合わせています。

例えばSFAの基本的な機能として挙げられる日報管理や活動管理、受注売上管理を持ったSFAがあります。

その他にも、名刺スキャンが可能だが名刺管理の側面が強く日報管理といった機能は補助的なもの、MAや基幹システムとの連携が可能などシステム連携に優れているもの、分析機能に優れているもの、など様々です。

せっかく導入したにも関わらず自社に合っていなかった、使われなくなってしまった、そんな風になってしまうと、SFAが無駄になってしまいます。

そのため自社の現状では何が課題で、どのように解決すれば良いのか、必要な機能はどのような機能かについて慎重に検討して自社にあったシステムを選ぶ必要があります。


2つ目は「管理項目をできるだけ少なくする」ことです。

上記で入力/活用しやすいような環境を整えることが大切とお伝えしましたが、入力する管理項目を少なくすることも大切です。

特に建設業や建築業では現場に直行直帰するなど外出先からデータを入力することが多いと思います。

現場や移動中に入力するのに項目が多いと、時間を取られ、負担に感じることがあるかもしれません。

そんな手間を削減するために、管理項目はできるだけ少なくし、直感的に利用しやすいつくりになっていることが大切です。

物件の種類や工事の種別に応じて管理項目を切り替えられるSFAを選択することも有効です。


3つ目は「社内で教育や研修を行う」です。

SFAをせっかく導入したのに使われなくなってしまった、そんな状態にならないためには社内で教育・研修を行う必要があります。

SFAの操作方法が周知されていないと、いざデータを入力しようとした際に時間がかかってしまい、次第に入力されなくなっていてしまいます。

新しくツールを導入すると慣れるまでに時間がかかってしまうものです。

そのため事前に教育や研修を行ってできるだけ手間を少なくし、入力/活用しすいように研修や教育を行うことが大切です。

現場の営業スタイルに合わせ、利用できる環境やデバイスを整備することも有効です。

業務改善による人手不足解消など自社の課題解決を目指してSFAの導入を検討される方が多いと思います。

しかしSFAツールをただ導入したから業務が効率化される、売上がUPする、というものではありません。

SFAツール導入後、日々顧客に対する活動を漏れなく記入して情報を蓄積することで担当者引継ぎの際にスムーズに対応できたり、成績の良い営業はどのような活動をしているのかを分析し、ノウハウを共有することで営業全体の底上げに繋がります。

このようにツールを導入するだけではなく、積極的に活用することが大切です。

いかがでしょうか？

建設・建築業界向けにSFAを選ぶポイントやメリットについてご紹介しました。

ぜひ自社にとってより良い建設業向けSFAツールにとはどのようなものか、ご検討いただく際にご参考になれば幸いです。